人工衛星もリユースの時代へ

宇宙ライターで以前から懇意にしていただいている林さんの記事、人工衛星の開発や運用が根底から覆る–「軌道上サービス」に注目すべき理由を読みました。

人工衛星は一度打ち上げたら修理はできない。それが宇宙業界の常識だった。燃料がなくなったら給油するとか機器を取り換えるなんて、夢のような話にも聞こえるが、世界ではそんな動きが既に始まっている。

人工衛星の開発や運用が根底から覆る–「軌道上サービス」に注目すべき理由

打上げロケット(固体ロケットブースターとかではなく第一段の意味)の再利用、てのも一昔前はちょっと信じ難かったわけで、夢のような話も宇宙開発という文脈でなら案外、現実味を帯びて聞こえるなあと思います。

一つのミッションのために打ち上げられていた衛星が、その目的を達成した後に別の目的にも使える。衛星の軌道位置を移動させ、寿命を伸ばすことができれば、さまざまな人がさまざまな目的で使いたくなるはずだ。

人工衛星の開発や運用が根底から覆る–「軌道上サービス」に注目すべき理由

単純に同じ衛星を同じ目的で延命させる……というのもアリっちゃアリなんでしょうけど、ビジネス観点においては目的を変えて別の方面に売り込んでいくのが面白いらしい。ただ搭載機器をアップグレードさせるにせよ何にせよ、新たに衛星を製造し打ち上げる場合と比べ経済有利性をどこまで出せるのかというのは、非常に気になります。

上野氏によると、日本は軌道上サービスについて、世界に先駆けて実験を行っていたという。1997年に打ち上げられた技術試験衛星VII型「きく7号」は、宇宙で「おりひめ」「ひこぼし」という二つの衛星に分離。自動操縦で接近、ドッキングに成功した。

人工衛星の開発や運用が根底から覆る–「軌道上サービス」に注目すべき理由

……懐かしい話も引き合いに出されています。「おりひめ」「ひこぼし」を運用していた当時は、まだ私はNASDAのWebサイト運用という仕事に携わっていて、悲喜こもごもを経験しました。当時の技術的な成果がベースにあって、昨今の「軌道上サービス」が盛り上がりつつあるなら、嬉しいですね。

静止軌道プラットフォームが実現すれば、人工衛星の世界に変革が起きるかもしれない。その変化は既に始まっている。

人工衛星の開発や運用が根底から覆る–「軌道上サービス」に注目すべき理由

実に将来に期待が持てる結び。そして実際そのような変革が起こり人工衛星はリユースが当たり前なんて時代が来れば、SDGsでいうところの目標12「つくる責任 使う責任」に大きく貢献しそうです。