衛星データによる温室効果ガスの推定

この記事は、宇宙開発とサステナビリティ Advent Calendar 2022の2日目の記事です。JAXAベンチャー天地人、国内外でビジネスパートナーを募集。衛星データを活用して水田から排出される温室効果ガスを推定する方法論を開発|株式会社天地人のプレスリリースを読みました。

JAXA認定の宇宙ベンチャー 株式会社天地人(東京都港区 代表取締役 櫻庭康人)は、衛星データを活用し、水田からのメタン排出量を推定する独自の方法論を開発し、特許を出願しました。

JAXAベンチャー天地人、国内外でビジネスパートナーを募集。衛星データを活用して水田から排出される温室効果ガスを推定する方法論を開発|株式会社天地人のプレスリリース

メタンといえば、温室効果ガスの代表格。牛のげっぷが地球温暖化に(二酸化炭素よりも遥かに)貢献していると言われているのも、胃の中にいる微生物によってメタンが発生しているからだそうで。

気候変動の主な人為的要因は二酸化炭素(CO2)ですが、近年、第2の要因であるメタン(CH4)が注目されています。CO2と比べて、メタンは濃度が低く残留期間も短いですが、1分子あたりの温暖効果は高く、気候変動の人為的要因の約30%を占めるとされています。中でも、水田から排出されるメタンは全体の約12%に上るとされています。

JAXAベンチャー天地人、国内外でビジネスパートナーを募集。衛星データを活用して水田から排出される温室効果ガスを推定する方法論を開発|株式会社天地人のプレスリリース

水田からのメタンの発生、なかなか無視できない量だったのですね……というのは、このプレスリリースを読んで初めて知りました。そのメカニズムについても、やはり微生物が関与しているというのが、メタン:水田から出る温室効果ガス (常陽新聞連載「ふしぎを追って」) (情報:農業と環境 No.114 2009年10月)に書かれていました。

水田の土壌の中には酸素が少ない(嫌気的な)条件でメタンを作る微生物(メタン生成菌)が住んでおり、水稲を育てるために水田に水を張ると、土壌中の酸素が少なくなって、メタンが作られます。水稲の茎や根には空気を通すための空隙(くうげき)があり、土壌中で作られたメタンの多くはこの空隙を通って大気中に放出されます。

メタン:水田から出る温室効果ガス (常陽新聞連載「ふしぎを追って」) (情報:農業と環境 No.114 2009年10月)

天地人の発表した方法が、今後の地球温暖化の抑制につながることを期待したいと思います。