アメリカで地球低軌道を飛行する人工衛星の軌道離脱を早める動き

この記事は、宇宙開発とサステナビリティ Advent Calendar 2022の3日目の記事です。少し古い、今年9月のスレッドですが……スラドで米連邦通信委員会、地球低軌道の人工衛星について運用終了後 5 年以内の軌道離脱義務付けを提案というスレッドが立っていました。それによると

現在のところ、LEO の人工衛星は運用終了から 25 年以内に軌道離脱させることが推奨されている。しかし、このルールは NASA が 1990 年代に提案して各国の宇宙機関が取り入れたもので、4,800 基以上の人工衛星が運用されている現状にそぐわないものになっている。

米連邦通信委員会、地球低軌道の人工衛星について運用終了後 5 年以内の軌道離脱義務付けを提案 | スラド サイエンス

これもまた、衛星コンステレーションの存在感が増してきたことの証左と言えるかもしれません。

元ネタのひとつとして紹介されているのがThe Registerの記事で、そちらにはもう少し詳しく記されていますね。SpaceXやアストロスケールが、25年ルールの5年ルールへの変更を支持しているだとか、25年ルールの継続を支持する意見がNASAのレポート(200年以上の時間軸で10%しかデブリ削減に貢献しない?)を論拠にしているだとか。

個人的に気になるのは、The Registerの記事で個人的に気になるのはここ:

Crucially, the FCC’s remit only extends to US-licensed satellites and systems, although it will also extend to non-US-licensed satellites and systems if they try to enter the US market.

FCC floats ‘five-year rule’ for hoovering up space junk • The Register

地球低軌道(LEO)に限った話でもないと思いますが、人工衛星の軌道という、人類全体にとっての共有財産とも呼ぶべき対象において、アメリカだけが頑張ってもねえ、という……そのあたりはスラドのスレッドでも言及がありますが、やはり国際的な枠組みの中での議論も並行して進められるべきではないかと思います。というか進んでいてほしい。