この記事は、宇宙開発とサステナビリティ Advent Calendar 2022の14日目の記事です。
10月6日付の記事、Nanoracks、軌道上でスペースデブリを破壊する技術を初テスト – UchuBizを読みました。見出しだけ読むと、「破壊」の2文字のインパクトが大きく、デブリからさらに多くのデブリを生んでしまう技術?などと心配になりましたけど、個人的な印象としては「破壊」という表現が相応しいテストではなかったように思います。記事では
スペースデブリを破壊するデモであるOutpost Mars Demo-1では、ロボットアームと高速回転する切削工具を用い、金属を摩擦により切断することを目的としていた。ミッションではロケット外部の耐食性鋼のサンプル「Coupon」の1枚を切断できたが、2枚を切断することはできなかった。
Nanoracks、軌道上でスペースデブリを破壊する技術を初テスト – UchuBiz
とあり、またNanoracks Space Outpost Programには次のようにOutpost Mars Demo-1が解説されています:
Outpost’s first in-space technology demonstration mission flew in May 2022. Nanoracks launched a self-contained hosted payload platform to demonstrate on-orbit debris-free robotic metal cutting. This demonstration opened the door to further Outpost development, including physical modification of upper stages.
Nanoracks Space Outpost Program
「debris-free」という言葉の解釈が難しいところではありますが、おそらくは新たなデブリを生むことなく軌道上で金属を切断する技術のデモンストレーション、それがOutpost Mars Demo-1だと私は理解しました。その前提に立てば、冒頭で触れた「破壊」という言葉から私を含め多勢がイメージするようなのとは異なる内容の実験だったのではと想像します。
ちなみに将来的にはこの宇宙技術を用いて、デブリとして漂っているロケットの上段を改造し、軌道上の商用プラットフォームとして有効活用するという構想があるらしい、というのをNanoracks Space Outpost Programを読んで知りました。なかなか、これはこれで先行きが楽しみというか、持続可能な宇宙開発をぜひ実現してほしいなと思います。