北海道スペースポート(HOSPO)におけるSDGsへの取り組み

この記事は、宇宙開発とサステナビリティ Advent Calendar 2022の13日目の記事です。

《北海道スペースポートが取り組むSDGs》 牛糞由来のバイオ燃料がロケット燃料に! 酪農と宇宙のまち・北海道大樹町で進むカーボンニュートラルの宇宙開発|北海道スペースポート|noteにて、北海道スペースポート(HOSPO)のSDGsに対する取り組みが紹介されていました。

HOSPOがある北海道大樹町は、宇宙のまちでもありますが、酪農が基盤産業のまちでもあります。地域の特色を活かした取り組みとして考えられているのが、町内で飼育されている牛の糞尿から生成した液化メタンを、地産地消のエネルギーとしてロケット燃料に使おう!という計画です。

《北海道スペースポートが取り組むSDGs》 牛糞由来のバイオ燃料がロケット燃料に! 酪農と宇宙のまち・北海道大樹町で進むカーボンニュートラルの宇宙開発|北海道スペースポート|note

非常に興味深いですね。記事では、糞尿の堆肥化は手間もコストがかかることや悪臭という別の社会課題が発生すること、また糞尿をエネルギーに変えるバイオガスプラントは送電線の不足し新たな売電が困難となっていること、が背景として語られています。

液化バイオメタン(LBM)と呼ばれ、液化天然ガス(LNG)の代替となる地産地消、カーボンニュートラルのエネルギーとして普及が期待されています。日本は世界最大のLNG輸入国で、ロシアからも輸入しています。ロシアのウクライナ侵攻でLNGの供給が不安定となっており、エネルギー自給の点からもLBMの活用はますます重要度が高まっています。

《北海道スペースポートが取り組むSDGs》 牛糞由来のバイオ燃料がロケット燃料に! 酪農と宇宙のまち・北海道大樹町で進むカーボンニュートラルの宇宙開発|北海道スペースポート|note

なんと、こんなところにもウクライナ侵攻の影響が……とはいえ、理由はさておきエネルギーを自給できるに越したことはないでしょう。

この実証実験は2021年度からスタートし、2022年度の10月13日にプラントで生成したLBMを初出荷しました。エア・ウォーターのプラントでは年間360トンのLBM製造能力があり、すべてLNGの代替として消費されると、サプライチェーン全体で年間7,740トンのCO2が削減され、温室効果ガスは60%以上減る見込みです。

《北海道スペースポートが取り組むSDGs》 牛糞由来のバイオ燃料がロケット燃料に! 酪農と宇宙のまち・北海道大樹町で進むカーボンニュートラルの宇宙開発|北海道スペースポート|note

既に実証実験が始まっているのは素晴らしいです。一定の成果も出ているようで何より。

事業化の第一弾として想定されているのが、大樹町の宇宙ベンチャー企業「インターステラテクノロジズ(IST)」でのロケット燃料としての活用です。ISTは2023年度に、超小型人工衛星を搭載する新型ロケット「ZERO」を打上げる予定で、燃料は液化メタンを使う予定です。
また、再使用型の宇宙往還機を開発する「SPACE WALKER」も液化メタンを燃料に大樹町で打上げを予定しています。

《北海道スペースポートが取り組むSDGs》 牛糞由来のバイオ燃料がロケット燃料に! 酪農と宇宙のまち・北海道大樹町で進むカーボンニュートラルの宇宙開発|北海道スペースポート|note

なんと、インターステラテクノロジズのみならず、SPACE WALKERも。土地柄、インターステラテクノロジズとの連携は当然そうだろうなと思っていましたが、これは広がりが期待できそうです!持続可能な宇宙機開発を目論む企業と、SDGsの一環としてそういう企業と連携したいHOSPOのあいだで、Win-Winな関係が発展するのが楽しみです。