Re: 再使用ロケットの1段目戦略(論文紹介)

インターステラテクノロジズ株式会社で代表を務める稲川貴大氏が書いた、再使用ロケットの1段目戦略(論文紹介)という記事を、興味深く拝見しました。目に止まった(そしてこのサイトで紹介する)理由は、SDGsに言及していたから。再使用ロケットの議論が複雑なのは、論点がゴチャゴチャだからと指摘をされていて、その論点として複数例示されていた中に環境論:SGDs的にやるべきかというのがあったのですけど、きっとSGDsはSDGsの誤記ですね( [ 2022-03-27 追記 ] 修正されました)。

ただ残念ながら、この論文紹介の記事でSDGsに触れられているのは、その1箇所だけ。あいにく時間がないので、当該の論文(Strategies for Reuse of Launch Vehicle First Stages)を読んでおらず、その論文自体が果たしてSDGs(ないしそれっぽい?)観点での評価をどれだけしていたかは謎。単純にべき論で言えば、目標12「つくる責任つかう責任」のターゲットのうち

  • 12.2:2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
  • 12.5:2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

に適合するという意味で、再使用すべきだろうと思うのですけどね。加えて最近ではReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)のいわゆる「3R」は古い!時代はサーキュラーエコノミー!!なんていう論調も一部にはあり、可否や是非はさておき、廃棄物をゼロにすべしという流れも出てきていますから。

ただまぁ実際、その妥当性の評価って簡単ではないですよね。稲川氏はこれと別に再使用ロケットの経済性という記事をお書きになっていて、再使用経済性指標というのを独自に考案されています。おおすごい、さすがだー、とか思いつつ、その中に含まれる製造コストというのが地味に曲者で、自然資本をどう捉えて値を突っ込むか次第で結果がガラッと変わりそうな気がしており。

特にオチも何もないのですけど、思うところとしては、その辺りを「ちゃんと」突き詰めて考えようとすればするほどドツボにハマる感があるというか、既存の経済モデルを物差しに云々することの限界というか、難しいです。